逸脱管理とは?

「逸脱」という言葉は、製薬において大きな意味を持ちます。
日本におけるガイドラインGMP省令 *1)で、”逸脱管理が医薬品の製造に必須である”とされているからです。

「逸脱管理」を話題にする前に「逸脱」という言葉の定義が必要です。

GMP省令を確認したところ「逸脱の管理」の定義 *2) はされているのですが、肝心の「逸脱」という言葉の定義はされていません。

そこで、国際的なガイドラインのICH Q7 *3) を見たところ「承認された指示または設定された基準からの乖離」と定義されておりました。

本文も、このICH Q7の通り「逸脱」とは「承認された指示または設定された基準からの乖離」と定義いたします。

逸脱管理、是正管理、予防管理。
これらの言葉は、同じような局面でよく使われます。

平たく言えば、免疫細胞を培養しているようなケースにおいて、予測通りの結果が得られなかったとき、その原因を突き止め、手順に漏れまたは問題がある場合、その手順を見直して、以後同じような状況に陥らないように予防策をとらなければならないということです。

これは、もちろん、遺伝子検査、検体検査等、同様のあらゆる場合にも当てはまります。

弊社が提供するソフトウェア「Carly」では、プロトコールとしてあらかじめ決められた標準作業手順(SOP)と、期待する結果(培養した細胞数など)を登録します。
各作業者は、このプロトコールの通りに自動作成される製造指図書に従って作業を進めます。

この製造指図書は、正に「承認された指示または設定された基準」なのです。

手順ごとの作業時間の標準作業時間との比較リストや、製造指図記録書を見れば、使った試薬の量の違い、結果培養できた細胞数の違いを確認することができるので「承認された指示または設定された基準」との乖離が一目瞭然です。

また、各保管庫に設置されている温度計、湿度計をはじめ環境モニタリングシステムとも連携しており、問題が起きた手順の時間帯に、温度や湿度、流量等がどうであったか?をその場で確認できます。

つまり、「承認された指示または設定された基準からの乖離」及びその原因が知らず知らずのうちに記録されており、それを確認する仕組みが備わっているのです。

そして専門部署による確認の結果、手順や使用量、期待する結果等に変更が必要と判断された場合、プロトコールにそれを反映することで「承認された指示または設定された基準」を変更します。

以後、同様の逸脱が発生しない様に予防するのです。

Carlyを導入すれば、逸脱管理、是正管理、予防管理が実現できるのです。

詳しくはこちら

 



*1)
GMP省令:12年ぶりに大幅に改正される見込みとなっています。
(最大のポイントは品質マネジメントシステムの導入といわれています。)

*2)
<参考:GMP省令より抜粋>
「第15条 逸脱の管理」製造業者等は製造手順等からの逸脱が生じた場合においては、あらかじめ指定した者に手順書等に基づき、①逸脱の内容を記録すること ②重大な逸脱が生じた場合においては逸脱による製品品質への影響を評価し所要の措置を採ること、またその評価の結果および措置の記録を作成し保管すること、さらに品質部門に対して文書により報告するとともに品質部門がそれを確認すること ③品質部門は確認した記録を作成保管するとともに製造管理者に適切に報告すること

*3)
ICH(医薬品規制調和国際会議)ガイドライン:Quality(品質に関するガイドライン)

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