がんゲノム中核病院の指定要件が大筋で決まりました!

2017年10月18日、「第10回がん診療提供体制のあり方に関する検討会(資料)」が厚生労働省から公開されました。

がん患者のゲノム(全遺伝情報)を調べて適した治療法を選ぶ最先端の医療「がんゲノム医療」を提供する病院の指定要件が大筋で決まりました。

「がんゲノム医療」を提供する病院は、「中核拠点病院」と「連携拠点病院」に2分して定義されています。

・中核拠点病院は、がんゲノム医療を牽引する高度な機能を求められており、主に遺伝子検査や人材育成、研究開発を担当します。

・連携拠点病院は、遺伝子検査の結果を受けて、直接患者の治療に携わる役割を担います。

中核拠点病院と連携拠点病院のそれぞれで詳細は異なりますが、下記のように指定要件が詳細レベルで合意されました。

(1)パネル検査を実施できる体制がある(外部機関との委託を含む)

(2)パネル検査結果の医学的解釈可能な専門家集団を有している(一部の診療領域について他機関との連携により対応することを含む)

(3) 遺伝性腫瘍等の患者に対して専門的な遺伝カウンセリングが可能である

(4)パネル検査等の対象者について一定数以上の症例を有している

(5) パネル検査結果や臨床情報等について、セキュリティが担保された適切な方法で収集・管理することができ、必要な情報については「がんゲノム情報管理センター」に登録する

(6)手術検体等生体試料を新鮮凍結保存可能な体制を有している

(7)先進医療、医師主導治験、国際共同治験も含めた臨床試験・治験等の実施について適切な体制を備えており、一定の実績を有している

(8)医療情報の利活用や治験情報の提供等について患者等にとって分かりやすくアクセスしやすい窓口を有している

(9)その他



なお、指定要件の再検討は2年後を目指して行うべきであるとしています。

ゲノム中核拠点病院の数については、12施設程度が妥当であるとされ、地域制のバランスも考慮して審査がおこなわれます。

年内に整備指針の通知を発出して中核拠点病院の公募を始め、来年3月末までに12施設を指定する予定です。

また、中核拠点病院の指定要件の合意に伴い、連携拠点病院の整備に関する指針も変更されるとの事です。そこで決定された指定要件も更に2年以内に見直しするそうです。

ゲノム(Geneome)とは、Gene(遺伝子)とすべて(-ome)から成る造語であり、DNAに含まれる遺伝子情報全体のことです。

がん細胞に生じた遺伝子の変異をゲノムレベルで特定することにより、その変異にあった診断、薬の投与や治療を行うゲノム医療は、大きな期待が寄せられています。