コンタミを防ぐ!

「コンタミネーション(英語:contamination)」、本来は「汚染」一般を意味する英単語ですが、製造工程においては「異物混入」、周囲の環境と実験環境を厳密に区分けする必要がある科学実験の場では「実験室汚染」と訳されることが多いです。

現場では「コンタミ」という用語が一般化しています。

薬品製造の場にかかわらず、「コンタミ」による問題がニュースとなることも多いです。 ガソリンと灯油、食品への異物混入等は耳にしたことがある方も多いでしょう。 細胞培養の場においても、「コンタミ」は最も一般的な問題であると同時に、非常に深刻な結果を引き起こす問題でもあります。

細胞を培養する場合、通常は他の生物の混入がない培地を使用して培養が行われます。 この純粋培養を行うためには、使用機材、培養器具、培地等すべての材料をあらかじめ滅菌処理をするとともに、無菌環境で培養を行うことで、実験中に空気や実験者、器具等から雑菌が混入しないように対策を講じています。
また、使用する水からの雑菌混入を防ぐために、できるだけ純度の高い純水を使用しています。

閉ざされた空間であるクリーンルーム(無菌室)では、紙から発生する塵埃もコンタミの原因となりえます。 ですから、清浄度の高いクリーンルームにおいてはペンや紙の持ち込みは避けたいものです。
やむを得ず持ち込む場合のために、防塵紙(クリーンペーパー)や、クリーンルームペン等のクリーンルーム筆記具が市販されています。

作業予定の確認や作業の記録は、専用の筆記具を使わなくともタブレットを使うことで、紙やペンから発生する塵埃の危険をなくします。

PCでは駄目なのか?とお考えの方がいると思います。

スイッチやコンセント、ファン等も塵埃によるコンタミの原因となるため、持ち込むと危険だというのが現場からの意見です。
その点、タブレットはあらかじめ充電しておくことで、クリーンルーム内で電源ケーブルの必要はありません。しかもファンレスなので安心です。

Carlyを導入すれば、バーコードリーダー、タブレット、タブレットペンを使用して、これらの問題を一気に解決することができます。
今後も、音声認識やウエアラブルな方法を含め実験者が、安心、安全、スマートに製造工程が記録できるよう目指します。

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逸脱管理とは?

「逸脱」という言葉は、製薬において大きな意味を持ちます。
日本におけるガイドラインGMP省令 *1)で、”逸脱管理が医薬品の製造に必須である”とされているからです。

「逸脱管理」を話題にする前に「逸脱」という言葉の定義が必要です。

GMP省令を確認したところ「逸脱の管理」の定義 *2) はされているのですが、肝心の「逸脱」という言葉の定義はされていません。

そこで、国際的なガイドラインのICH Q7 *3) を見たところ「承認された指示または設定された基準からの乖離」と定義されておりました。

本文も、このICH Q7の通り「逸脱」とは「承認された指示または設定された基準からの乖離」と定義いたします。

逸脱管理、是正管理、予防管理。
これらの言葉は、同じような局面でよく使われます。

平たく言えば、免疫細胞を培養しているようなケースにおいて、予測通りの結果が得られなかったとき、その原因を突き止め、手順に漏れまたは問題がある場合、その手順を見直して、以後同じような状況に陥らないように予防策をとらなければならないということです。

これは、もちろん、遺伝子検査、検体検査等、同様のあらゆる場合にも当てはまります。

弊社が提供するソフトウェア「Carly」では、プロトコールとしてあらかじめ決められた標準作業手順(SOP)と、期待する結果(培養した細胞数など)を登録します。
各作業者は、このプロトコールの通りに自動作成される製造指図書に従って作業を進めます。

この製造指図書は、正に「承認された指示または設定された基準」なのです。

手順ごとの作業時間の標準作業時間との比較リストや、製造指図記録書を見れば、使った試薬の量の違い、結果培養できた細胞数の違いを確認することができるので「承認された指示または設定された基準」との乖離が一目瞭然です。

また、各保管庫に設置されている温度計、湿度計をはじめ環境モニタリングシステムとも連携しており、問題が起きた手順の時間帯に、温度や湿度、流量等がどうであったか?をその場で確認できます。

つまり、「承認された指示または設定された基準からの乖離」及びその原因が知らず知らずのうちに記録されており、それを確認する仕組みが備わっているのです。

そして専門部署による確認の結果、手順や使用量、期待する結果等に変更が必要と判断された場合、プロトコールにそれを反映することで「承認された指示または設定された基準」を変更します。

以後、同様の逸脱が発生しない様に予防するのです。

Carlyを導入すれば、逸脱管理、是正管理、予防管理が実現できるのです。

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*1)
GMP省令:12年ぶりに大幅に改正される見込みとなっています。
(最大のポイントは品質マネジメントシステムの導入といわれています。)

*2)
<参考:GMP省令より抜粋>
「第15条 逸脱の管理」製造業者等は製造手順等からの逸脱が生じた場合においては、あらかじめ指定した者に手順書等に基づき、①逸脱の内容を記録すること ②重大な逸脱が生じた場合においては逸脱による製品品質への影響を評価し所要の措置を採ること、またその評価の結果および措置の記録を作成し保管すること、さらに品質部門に対して文書により報告するとともに品質部門がそれを確認すること ③品質部門は確認した記録を作成保管するとともに製造管理者に適切に報告すること

*3)
ICH(医薬品規制調和国際会議)ガイドライン:Quality(品質に関するガイドライン)

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「がんゲノム医療中核拠点病院(仮称)」 今秋に指定要件報告

2017年8月23日、第1回がんゲノム医療中核拠点病院(仮称)等の指定要件に関するサブワーキングループ(資料)が公開されました。
 


がんゲノム医療の実施に必要な要件として、下記の8項目が挙げられています。(厚生労働省 公開 2017年8月23日 資料4)

  • 1. パネル検査を実施できる体制がある(外部機関との委託を含む)
  • 2. パネル検査結果の医学的解釈可能な専門家集団を有している
  • 3. 遺伝性腫瘍等の患者に対して専門的な遺伝カウンセリングが可能である
  • 4. パネル検査等の対象者について一定数以上の症例を有している
  • 5. パネル検査結果や臨床情報等について、セキュリティが担保された適切な方法で収集・管理することができ、必要な情報については「がんゲノム情報管理センター」に登録する
  • 6. 手術検体等を新鮮凍結保存可能な体制を有している
  • 7. 先進医療、国際共同治験も含めた医師主導治験等の実施について適切な体制を備えており、一定の実績を有している
  • 8. 医療情報の利活用や治験情報の提供等について患者等にとって分かりやすくアクセスしやすい窓口を有している
  •  


    このサブワーキンググループの中で、委員の意見として、米国のCLIA基準などゲノム解析の品質保証下での実施体制の構築が必要である、遺伝子関連検査等を実施する場合に追加的に設定する基準として、検査施設の第三者認定については,遺伝子関連検査等の質の保持や,セキュリティー確保など国際的基準のISO 15189等に準じた高い施設基準や置運営規則が必要だということ。

    薬機法未承認の遺伝子関連検査をクリニカルシークエンスとして実施する場合は、国際的な外部精度管理(ISO15189、CAP)等を受けた検査室で行うことが求められること。

    といった、品質管理に関する提言が多く含まれています。

    また、品質管理と同様、病院一元管理体制の必要性に触れた意見も出ていました。

    「具体的な外部精度管理の要件等については今後の検討課題」とされていますが、当然のことながら、「質の確保された」検体、検査が大前提とされるものとなっています。

    弊社が提供するソフトウェア「Carly」を導入すれば、情報の一元管理も実現できます。

    「品質管理」についての記事も書いていますので、ぜひ読んで下さい。

     



    参考:国際的認定制度としては、下記の3つがよく知られています。
    1)ISO15189 ISO(国際標準化機構)で定められたISOのうち、臨床検査室に特化したISO
    2)CLIA基準 米国臨床検査ラボの品質保証基準。臨床検査改善修正法案(CLIA: Clinical Laboratory Improvement Amendments )
    3)CAP-LAP (CAP: College of American Pathologists)が実施する臨床検査室認定プログラム(臨床検査室のハード及びソフト面での査察プログラム)

    一定基準の品質を担保するには?

    ISO15189の認定取得をするための第一歩は、品質文書の作成です。
    品質文書とは、マニュアル・基準書・SOP(標準作業手順書:Standard Operating Procedures)のことを意味します。

    SOP(標準作業手順書)に従い作業を行うことが求められるのです。

    弊社が提供するソフトウェア「Carly」の工程管理は、SOP(標準作業手順書)として作業工程の細部まで登録することから始まります。

    実際に作業を開始する時、Carlyは、あらかじめ登録されたSOP(標準作業手順書)の中から、その作業に見合った手順書を探し出し、その手順に従った製造指図書を自動作成します。

    作業者はタブレットやバーコードを使って製造指図書を見ながら作業を進めます。

    Carlyは、製造指図書通りに作業が行われているかをチェックし、誤った手順で作業をしようとするとアラートを出し、先に進めないようにガードします。
    そして、それら確認した内容を、作業結果と共に「実行者」及び「実行時間」を添えて自動記録します。

    作業者が意識することなくデータが蓄積されるのです。

    また、ISO15189は、SOP(標準作業手順書)に従い作業を行うことだけでなく、各プロセスの評価および改善活動することを要求しています。

    依頼内容・検査手順の適格性等の定期的なレビューを行うための情報も、Carlyなら事前定義をしておくことで、いつでも、どこでも出力することが可能です。

    そして何よりも、手順変更の周知が漏れることは無くなります。

    なぜなら、Carlyは、最新のSOP(標準作業手順書)に従い作業を行うように強制するからです。

    作業者は新しい手順を遵守せざるを得ないのです。

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