御存知のように、遺伝子検査会社の役割は昨今非常に大きなものとなっています。
アメリカの人気女優が遺伝子検査の結果を受けてがん予防のために健康な乳房等を切除したというニュースが世界中の注目を浴びたのは2013年のことでした。
切除はしないにしても、遺伝的なリスクが判明すれば、早い段階から習慣の改善を意識するようにはなるというのが世間でも認識されているのではないでしょうか。
オバマ政権では、2015年、パーソナルゲノム医療を目指して100万人以上の米国人のゲノム(DNAのすべての遺伝情報)を集めると発表して衝撃を与えました。
国をあげて「ゲノム医療」を推進し、その枠組み作りにも取り組んでいたのです。「プレシジョン・メディシン(Precision Medicine)」という新しい考え方を紹介したのも同じころです。
「プレシジョン・メディシン(Precision Medicine)」とは、精密医療や高精度医療、個別化医療等と訳されていますが、遺伝子情報や、環境要因・ライフスタイルなども含めた情報を基に、個人を「病気のかかりやすさ」で詳細なサブグループに分け、そのサブグループごとに適切な予防や治療を目指していくという考え方の医療です。
この分野では、米国が一歩も二歩も抜きん出ています。
日本においても「ゲノム医療実現推進協議会」や「次世代医療ICT基盤協議会」での議論が始まっており、ゲノム解析は研究から実利用に向けた段階へと進んでいます。
ただ、米国では糖尿病等の生活習慣病にまで広範囲にカバーしているのに対し、日本のゲノム医療は、現在はがんや希少疾病、難病にフォーカスされている点に、米国との若干の違いを感じます。
いずれにしても、遺伝子検査会社の役割は日に日に重要なものとなっています。
2017年8月14日、2017年8月28日のブログでも触れましたが、国をあげて遺伝子検査の品質を確保していこうという動きは確かにあります。
しかし一方、遺伝子関連検査には多種多様なものが存在するため、どの程度の施設に法の網をかけるかについてはまだまだ曖昧です。
本年に入って飛び込んだニュースに、白血病関連遺伝子検査の値が病院検査と異なるということから大問題となり、その受託機関では半年ほど検査受託を中止して検証及び過去データの見直しを行うというものがありました。
第三者評価委員会によって「検査結果の低値化は認められず、過去の報告結果が患者の継続的な診療に及ぼす影響は無いと考えられることから、十分な検査工程の点検および利用者の理解を図った上で再開されるべき」と結論付けられ、すでに検査受託は再開されています。
患者への影響は無いという結論に安心はしましたが、そもそもニュースになるほど病院検査と値が異なるということについて、必ずその原因はあり得ます。
同じ目的の検査においても、実施する機関において、検査手順、検査環境、検査キット、保存環境等、何かが異なる箇所があるはずです。
「認定された」どの遺伝子検査機関においても結果が同じとなる、私たちは、そういう状況になる様にシステム導入を通じて医療に従事する皆様を支援いたします。